2025年 第65回海外日系人大会

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海外日系人大会 1日目 第65回海外日系人大会が17日から19日まで、東京・新宿のJICA市ヶ谷ビルを主会場に開催されました。公益財団法人海外日系人協会(田中克之理事長)が主催し、南北米やアジア、欧州、オセアニアなど17カ国から155名の日系の方々が参加されました。 1957年の創設以来、母国日本と世界各地の日系社会を結ぶ架け橋として続いてきた歴史ある大会です。開会式では、世界的に排外主義が横行するなか、今年の総合テーマは「混迷と不安が深まる世界とニッケイ社会~新たなつながりを求めて」が掲げられました。大会を主催する公益財団法人「海外日系人協会」の田中克之理事長は「誤った情報や感情論に左右されず、共生社会を実現するために何をすべきかを議論したい」などと挨拶されました。 初日に行われた基調講演ではブラジル日本文化福祉協会の石川レナト名誉会長(86)が排外主義に懸念を示し、「日本では今、外国人の問題が議論になっているが、日本で働く日系人も頑張って働き、日本の未来のために誇りをもってやっているので、そこを理解してほしい」と訴えました。続いて、第2次大戦期に米ハワイで起きた日系人迫害を取り上げたドキュメンタリー映画「Removed by Force」の上映や、日系四世歌手メリッサ・クニヨシ氏によるミニライブも行われました。 夕方からは場所を海運クラブに移し、秋篠宮ご夫妻をお招きし参加者歓迎交流会が催されました。日本ウルグアイ協会では会長お1人が交流会に招待を受けましたが、ご都合が悪く筆者が出席しました。 ウルグアイ国は日系人は少なく、当協会においても日系ウルグアイの方も入会してくれてはいますが、圧倒的多数のブラジルの方と比べることはできません。少数とはいえいろいろな分野で活躍し、存在感を示している日系の方はいらっしゃいます。 近年は非日系の人々も重要な担い手となり、「ニッケイ社会」というカタカナ表記が使われるようになりました。こうした多様性を受け入れる姿勢は、今後の日系社会の発展に不可欠ではないでしょうか。日本人としても大いに関心を持つべきだと感じました。 筆者は翌日のシンポジウムの午前の部にオブザーバーとして参加しましたので、続いて報告します。 |
大会2日目 国際シンポジウム パネルディスカッション 第1部:新たなつながりを求めるニッケイ新世代

午前のパネルディスカッションでは、海外日系人協会常務理事(武蔵大学教授)のアンジェロ・イシ氏がモデレーターとなり、新しい時代を背負う日本在住の日系人の若者4人がそれぞれの取り組みについての発表がありました。
| サミーケンジ・ダシルバ氏:ブラジル・サンパウロ州生まれの日系ブラジル4世で、名古屋市で育ちました。新聞記者として物流業界を中心に、物流現場の課題や外国人労働を扱う記事を多く執筆しています。ご自分の生い立ちの話や、取材でのエピソードや実際の記事について述べました。 | ![]() |
ダニエル・マツダ氏:ハワイで生まれ育った日系アメリカ人4世。JETプログラムに参加し鳥取県湯梨浜町に1年間過ごした後、2024年に日系4世を対象とした特定活動ビザを利用して再来日しました。現在は東京でソフトウェアエンジニアとして勤務。主に特定活動ビザの取得の難しさについて述べ、行政書士のKASAMA YUMIKOさんに大変お世話になったそうです。。 | ![]() |
| 旭田ラリッサ香氏:ブラジル出身で生後3か月で日本へ移住しました。現在は武蔵大学人文科学研究科にて、在日ブラジル人児童の「夢」に焦点を当て理想と現実の乖離について研究されています。その研究テーマについて述べました。 | ![]() |
知念友介氏:「出稼ぎ労働者」として来日した日系ブラジル人の両親の元、富山県で生まれ育ちました。現在はポルトガル語と日本語のバイリンガル弁護士として活動しています。弁護士を目指すきっかけ、弁護士としての仕事についてを述べ、最後に日系人の可能性についてまとめました。 | ![]() |
4名の若者は家族の愛情を受け、それぞれの体験や研究、活動を通じて示された日系新世代の人の姿でした。多様でありながらも共通して未来への希望と可能性を感じさせるものでした。日系社会の新たなつながりを築いていく大きな一歩が示されたと言えます。エールを送ります。
記 藤井 美治子





